こんにちは、町医者の日常です。
今日はちょっとだけ真面目な話、「適応障害」について書いてみようと思います。
僕は普段、心療内科のクリニックで診療をしているのですが、実は外来で一番よく出会う病気が、この適応障害なんです。
「名前は聞いたことあるけど、実際どんな病気なの?」という方も、けっこう多いんじゃないでしょうか。
というわけで今日は、適応障害のことを少しでも知ってもらえたらなと思います。ゆるっとお付き合いください。
<医師から一言:適応障害ってどんな病気?>
まず、これはよくある話なんですが……「適応障害の可能性が高いですね」とお伝えすると、名前をそのまま受け取って「自分は社会に適応できないダメな人間なんだ…」と、すごく落ち込んでしまう方がいます。
でも、これは本当に誤解なんです。あなたの性格や能力を否定するような病名では、まったくありません。
適応障害というのは、ざっくり言うと、仕事や人間関係みたいに「はっきりしたストレスの原因」があって、そのせいで気分が落ち込んだり、不安になったり、体の調子まで崩れてしまう状態のことです。
逆に言うと、そのストレスの原因から離れると、症状がスッとやわらぎやすいのも特徴だったりします。
<まず大事なのは「休むこと」>
で、適応障害でいちばん大事なのは、実はシンプルで、「休めるなら、しっかり休む」ことなんです。
原因になっているストレスから距離を置くだけで、それだけで症状がラクになる方も少なくありません。
だから、仕事が原因なら休職、学校が原因なら休学。思いきって環境から離れる時間をつくることが、遠回りに見えて実は一番の近道だったりします。
そう話すと、「じゃあ、いつまで休めばいいの?」って聞かれることがよくあります。
僕はいつも、「気持ちの浮き沈みがなくなって、それから最低でも1〜2ヶ月は休んでくださいね」とお伝えしています。
とはいえ、これだけだとイメージしにくいと思うので、いつも「バケツ」にたとえて説明しています。
まず、バケツを1つ思い浮かべてみてください。このバケツの大きさが「心のキャパシティ」だと思ってください。
バケツの上には蛇口がついていて、そこから水が入ってきます。この水の量が「心のエネルギー」です。
そして、バケツの底には、実はみんな必ず穴が空いています。この穴の大きさが「ストレスの大きさ」なんですね。
人間関係や異動なんかでストレスが大きくなると、この穴もどんどん大きくなります。そうすると、せっかくの水(心のエネルギー)が、どんどん漏れていってしまうんです。
そして水の量がバケツの半分(50%)を下回るくらいになると、気持ちの落ち込みや、眠れない、食欲が落ちる……といった症状が出てきます。
ここで休職やお薬の力を借りると、あの穴が少しずつ小さくなっていきます。
そうすると水がまた溜まり始めて、50%を超えて60%くらいまで戻ってくると、落ち込みなどの症状もだんだんラクになってきます。
ただ、ここがちょっと注意なんです。回復したからといってすぐに復職すると、また穴が大きくなって、せっかく溜まった水がまた50%を切って、症状がぶり返してしまうことがあるんですね。
だからこそ、「元気になったし、もう大丈夫!」とすぐに戻るのではなく、最低でも1〜2ヶ月は休職を続けるのがおすすめ、というわけです。
<休めない場合は、薬物療法やカウンセリングも>
とはいえ、「そんなこと言われても、どうしても休めないよ…」という方もいますよね。
そういうときは、お薬による治療や、カウンセリングなどの精神療法を組み合わせていくことが大切になってきます。
<医師から一言:カウンセリングの位置づけについて>
ここでひとつ、誤解されやすいのがカウンセリングの立ち位置です。
カウンセリングはあくまで「補助的な治療」であって、適応障害治療の主役ではないんです。
主役はあくまで、休養やお薬、そして何より「ストレスの原因そのものに対処すること」。
カウンセリングは、その過程で気持ちを整理したり、自分の考え方のクセに気づいたりする、いわば“サポート役”。そんなイメージを持ってもらえると分かりやすいかなと思います。
適応障害は、決して珍しい病気ではありません。
もし「あれ、もしかして自分もそうかな?」と思うことがあれば、一人で抱え込まずに、早めに相談してもらえたら嬉しいです。
これからも、クリニックで感じたことや、みんなに知っておいてほしい病気のことを、少しずつ紹介していきますね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、おやすみなさいzzz

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